ほとんどの釣りものと同様、タイラバも冬は釣れません
明石では、冬から春にかけて海苔を捕食するマダイを狙う海苔パターンというものがあります
海苔に近い色のコーラやマジョーラとかの色のネクタイを使います
それでも、11月、12月までのハイシーズンと比べ物にならないくらい、アタリが遠のきます
ハイシーズンは釣れてたのにマダイはどこいったん?今回も論文を探してみました
かまくら作って入ってるわけではなく、驚きの結果ですよ~
マダイは本当に冬の時期、深場に潜ってる?
光永靖、荒井修亮、坂本亘「水温・水温データロガーによるマダイの遊泳行動の長期間記録」海洋理工学会誌8 (1), 25-33, 2003
この論文では、若狭湾でとれた8匹のマダイに水温・水深データロガーを装着して12月~5月の間にマダイがどう行動するかを研究しています
データロガーを回収できたのは漁師が釣りあげた1匹だけ
1997年12月1日に放流して1998年5月5日に漁師により再捕されています
魚自体は、市場に出てしまって回収できなかったそうです
データを取れた期間は150日以上!
その結果は、沖合に出て100mまで潜って越冬すると考えられていたのにそうではなかった…まじかよ!

マダイの1年間の行動
これまで考えられていたマダイの1年間の行動(若狭湾)は次のとおりだったそうです
春季:遊泳層の水温が上昇すると、産卵のため接岸
5月上旬~6月上旬(水温14℃~18℃):外洋域の天然礁に集まって産卵
夏季~秋季:湾内に滞留して大きく移動せず
冬季:沖合に移動、水温12℃以下で摂餌を行わなくなり、水深100m域の沖合で越冬
今回の研究は冬季の行動にスポット
マダイは、水深100mの沖合で越冬するはず!
マダイは冬をどう過ごしていたのか
今回データが取れたマダイがどのように行動していたか、見てみましょう
データが取れたのは12/1~5/5の間にマダイがいた水温と水深です
水平方向の移動は記録なしです。論文に書いてあったことをまとめると次の表のとおりです
時期 | マダイ遊泳層の水温 | マダイのいた水深 |
---|---|---|
12/1~2/15(水温下降期) | 17℃から11℃まで下降 | 20m~30m付近 5m~20mの変動幅で動く |
2/16~4/9(水温一定期) | 11℃~12℃で一定 | 30m~50m付近 |
4/10~5/5(水温上昇期) | 12℃以上になり、15℃まで上昇 | 20m~80m 4/29には100m 釣れた時は72m付近 |
12月上旬から4月上旬にかけて水深20m~60mの範囲にとどまり、100m以上の水深のところには行ってなかったという結果!越冬のため深場には潜っていないやん!
しかも、水温が12℃以上になった4/11早朝から深夜にかけて水深80mまで潜行し、水深30mまで浮上しています。4/29には水深100mにまで達しています
論文では、産卵・産卵前の摂餌に伴う回遊の表れと解釈されており、これまで考えられてきたこと(外洋域の天然礁に集まり産卵)と同じようです
まとめ 低水温期でも釣れるようになるかも
今回の研究で再捕されたのは1匹だけなので、サンプルとしては少なそうです
ただ、結果はこれまで考えられてきたこととは違い、マダイが越冬のため深場に移動しない可能性が出てきました
今後、低水温期になる1月~4月でも、ハイシーズンと同じように釣れるネクタイや釣り方が開発されるかもしれませんね
ほなまた!